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2025.09.02

生成AIシステムを安価に構築する方法、SENTANの松田氏が講演

 SENTAN代表取締役の松田利夫氏が8月27日、ITビジネス研究会の8月例会で、「中小企業が自社専用の生成AIシステムを安価に構築する方法」というテーマで講演をした。「GPUサーバーの価格低下とオープンソースのLLM(大規模言語モデル)の高性能化によって、中小企業が生成AIシステムを手に入れることが可能になる」とし、安価なPCとオープンソースLLMを組み合わせた専用生成AIシステムを100万円超で構築する方法を紹介した。

 松田氏によると、PCに搭載可能なGPUが発売されたことで、AIが手元におけるようになったという。一方、米MITが8月に発表したレポートでは、生成AI活用の95%が失敗している。松田氏はその最大の理由を「学習するデータがないこと」を挙げている。社内外のデータがAI学習に適する状態になっていないため、AIの学習が進まないという。どんなに良質なデータがあっても、PDFやExcelのままでは活用できない。生成AIは、業務の大幅な効率化からイノベーションの促進、新たな顧客体験の創出まで、ビジネスに革命的な変革をもたらすと言われているものの、生成AI導入で具体的な成果を上げている企業は極めて少ないのが現実。

 松田氏は「成功している5%の企業はトレーニングを継続している。毎日、ビッグデータが発生しており、それを教え続けること」」と示唆するとともに、無関係なデータまで検索してしまうRAG(検索拡張生成)の限界も指摘する。コスト面から考えると、中小企業には100万円超のPCなら手に届くだろう。しかも、オフラインの生成AIシステムを構築できる。

 主に取り入れるデータは、現場スタッフらのノウハウになる。顧客との商談や社内の音声、メールなどの会話やコミュニケーションなども学習データに使う。作業日報、業務マニュアルなどもだ。公開されているデータではなく、企業の資産ということ。いいデータはインターネット上にはない。データサイエンティストが活躍する場もない。こうした点から、意思決定の速い中小企業のほうがAIを活用しやすい環境にあるといえる。顧客との商談を記録し、それをAIに学習させする判断を、経営者は迅速に行うことも可能だろう。

 松田氏は「マネジメント層がAI活用を推進しなければ前に進まない」と主張する。例えば、経理や営業の様々なデータを一般社員が勝手に活用できるだろうか。学習させるデータを用意し、活用できるのはマネジメント層になる。彼ら彼女らが率先して、AIを活用することが肝だと考えられる。(田中克己)

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