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2025.09.08

日本企業のAI導入率4割強に、AWS調べ

 米AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)が9月2日、調査レポート「日本のAIの未来を切り拓く」を公表した。日本のビジネスリーダー1000人と一般市民1000人を対象に、日本のAI導入状況を調べたもので、2024年に36万社の日本企業がAIソリューションを導入し、累計で前年比30%増の150万社になったという。AI導入率は43%になる。

 とくに日本のスタートアップのAI導入率が84%と高く、大企業の68%も上回る。同社によると、「スタートアップは単なる効率化を越えて、AIを中心とした全く新しい製品やビジネスモデルを構築し、日本のイノベーション経済を促進している」と分析する。その一方で、AI導入の深さに大きなギャップがあるという。日本企業の72%が「効率化やプロセス合理化」といった基本的なAI活用に焦点を当てており、新製品開発やビジネスモデル変革といった高度な活用段階には至っていない。最も変革的な段階に到達している企業は13%に過ぎない。

 対して、スタートアップは革新的なAI利用を先導している。AI導入済みのスタートアップの36%が完全に新しいAI機能を搭載したAI駆動型製品を開発している。そんな大企業はわずか11%だ。

 調査からAI導入の障壁もみえてくる。1つは、AIスキルのギャップだ。日本企業の39%が、AI導入や拡大を妨げる最大の要因に「熟練した人材の不足」を挙げる。将来的に37%の企業がAIリテラシーの必要性を予想しているにもかかわらず、「現在の従業員がそのスキルセットに対して準備ができている」と感じている企業は25%だ。2つめは、規制の不確実性になる。提案されている日本のAI法に関する議論を理解し、法制がどのように機能するかを説明できる企業はわずか14%だったことからも分かる。3つめは、資金調達になる。スタートアップの資金調達に「ベンチャーキャピタルへのアクセスが不可欠」とするものの、スタートアップの33%しか、「日本のビジネス環境がフレンドリーだ」と感じていないこと。

  AWSは「日本のAI導入が勢いを増している一方で、その成果を真に経済成長につなげるためには、スキルギャップの解消や規制環境の整備といった根本的な課題に取り組む必要がある」と示唆する。(田中克己)

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