デル・テクノロジーズは8月26日、アジア太平洋(APAC)地域のAI導入動向に関する調査結果を発表した。NVIDIAとともに調査会社IDCへ委託したもので、多くの組織が人材不足などから、AI戦略とビジネス目標を一致させることに苦慮していることが分かったという。
調査結果によると、APACにおける生成AIへの支出は急増しており、2025年は生成AIイニシアチブに100万~200万ドルを支出するAPACの企業は84%にもなる。生成AIへの支出が予算に占める割合は、世界の約33%に対して、APACは38%とやや高まっている。とくに予測AI(Predictive AI)と解釈可能なAI(Interpretative AI)への支出合計が61%に上る。
APACにおけるAIや生成AIの導入戦略は進化しており、2024年に最も多かった導入オプションはマルチクラウドを含むパブリッククラウドだった。セキュリティやコスト効率、データ共有とコラボレーションの向上、業界固有の要件といった要因を背景に、プライベートAIに対するニーズも高まっている。汎用AIモデルから特化型AIへの移行も進んでいる。
課題は、AI/MLプロジェクトの5回に1回(20%)が失敗していること。背景にはAIガバナンス不備(19.3%)、人材不足(18.4%)、過剰なインフラコスト(16.9%)などの要因がある。生成AIの導入規模を拡大する際、エネルギー効率を考慮しながら、ITコストの上昇や規制、コンプライアンスに伴うリスク、といった課題の解決にも迫られている。加えて、72%超の企業が新たに人材採用において、データとAIの知識を有することを必須としている。これはAIスキルを有する人材不足のギャップを埋めるためだ。
一方、AI導入に成功している企業は、テクノロジーパートナーを活用しているという。AIのロードマップや堅牢で拡張性の高いインフラ、専門家による実装の支援、従業員のトレーニングなどを通じて、社内のスキルギャップを埋め、AIの展開を加速させている。(田中克己)
出典: IDCのAI、生成AI、インサイトに関する調査(
(IDC調査資料『Creating Your AI Implementation Blueprint』より)