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2023.09.11

デロイトトーマツコンサルティングがERPなどのアプリからクラウドへとSIビジネスを拡大)

 国内SIサービス市場で外資系コンサルティング会社の存在感が増している。言われたものを作り込んできた日本の伝統的なSI企業に対して、ビジネス変革から展開する外資系コンサルティング会社に、「変革に必要なIT活用とシステム構築も」と声をかけるユーザーが増えているということだろう。

 そんな中、デロイトトーマツコンサルティング(DTC)がSAPなどのアプリケーションから、AWSなどのクラウド基盤やSaaSを活用したクラウドベースのSIビジネスに本格的に取り組み始めている。この1年間に人員は約1000人増えて、5300人超(2023年5月時点)になり、その半数がテクノロジーの導入に関係するコンサルタントやエンジニアらになる。設計から開発、運用などを請け負う子会社のデロイトトーマツアクトとデロイトトーマツノード、デロイトトーマツリップルマークをこの数年の間に設立たり、買収したりし、システム構築の機能を取り込んできた。その規模は600人超にのぼるという。

 DTCがSAPやSalesforceなどERPやCRMのシステム構築事業に取り組み始めたのは約10年前になる。Cloud Divisionリーダーの根岸弘光執行役員によると、最初の大きな案件はソニー・インタラクティブエンタテインメントのSAP導入になる。それまで、日本のDTCは構想策定から企画、要件定義までで、開発以降の下流工程はSI企業に任せるビジネスを展開していた。つまり、開発や運用は請け負わなかったということ。だが、「クラウドが出てきたことで、テクノロジーがビジネスに深く関係するようになり、ビジネス変革からシステム導入までを提供することが顧客のビジネス変革のスピードを上げる」(根岸氏)と判断し、SIにも乗り出した。

 コンサルティングビジネスにおけるグローバルの潮流も背景にあったという。ストラテジーとオペレーションの変革、テクノロジーのコンサルティングを展開する中で、ある調査会社が10年超前にオペレーション変革のシュリンクを予測し始めた。日本にもその兆候が見られてきたこともあり、「テクノロジーでもきちんと売り上げを確保するとなった」(根岸氏)。

 その後、ServiceNowやAnaplanなど扱うアプリケーションやミドルウエアを広げていった。2022年6月には、AWSやAzure、GCP(グーグルクラウド)といったクラウド基盤やPaaS、SaaSのクラウドサービスを活用したクラウド戦略策定からアーキテクチャ設計、開発、運用までのインテグレーションを請け負うCloud Divisionを新設した。アプリケーションなどを扱う専門チームとは別組織で、約800人を配置する。

 実はSIを始めた当初、「DTCがシステム構築までやるのか」と、ユーザーから懐疑的にみられたという。開発や運用の国内子会社3社のほか、インドや中国、フィリッピンなどのグローバル・デリバリセンターの活用などを説明する「単なる単一のクラウドサービスの導入ではなく、ビジネス変革や新規ビジネス構築のサービスを提供する」。

 それだけでは、SIビジネスで先行する日本の大手SI企業や外資系コンサルティング会社に対抗する力が充分とはいえない。「グループ会社とコラボレーションし、ビジネス変革の構想策定からIT変革まで手がけることで、後工程も獲得する」。ユーザーが描いたビジネス変革の実現には、「こんなこともしたら」と提案するなど、競合他社との差別化を図る。

 根岸氏によると、SAPやSalesforceの需要は大きく、エンジニア不足の状況にあるので、専門チームにはCloud Division以上の人員を配置しているという。一方、クラウドサービスの本格的な活用はこれからになる。「日本のグローバル企業は活用へ舵を切り始めたところで、IT部門が社内にクラウドサービス活用の良さをどう浸透させるかにある」(根岸氏)。経営トップらがデータを外に出すことに抵抗感もまだある。そこで、DTCはクラウド活用に切り替えるシナリオの作成を支援する。「(ユーザーは)やりたいことのイメージがふゎーあとある。その考えを具体化できるのが、SI企業との違いだ」(根岸氏)。ビジネス変革という上流から入り込むということ。

 まだ足りないものがある。根岸氏の構想は、各業界が取り組む新しい仕組みや、ビジネスに着目したサービスを開発、提供すること。例えば、自動車業界は車というハードウエアの販売からサービス提供へと新たなビジネスモデルを創り上げようとしている。そこに、ITや通信などサービスを成り合いにする業界のビジネスのやり方、テクノロジーの活用や仕組みなどの知見を活かし、自動車業界のサービスビジネスを創り出す。「米国やイギリス、オーストラリアなどの先端事例も容易に手に入る」(根岸氏)。

 もう1つは、業界の枠を超えたプラットフォームや、業界と業界をつなぐ共通プラットフォームを構築すること。大手SI企業などを経て、約13年前にDTCに移った根岸氏は「日本発のプラットフォームを創りたい」と、意気込む。(田中克己)

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