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2024.03.21

生成AIのインパクト第3回「富士通」、平均20%見込む

 富士通は仕様設計からプログラミング、テストまでの工程に生成AIを導入し、開発の生産性と品質の向上を図る計画。提供後のトラブルなどのサポートにも使う。ミドルウエア開発部隊のソフトウェアオープンイノベーション事業本部長の粟津正輝氏は、標準開発基盤に取り込み、平均20%の生産性向上を見込んでいる。

 粟津氏は「2024年3月末までに目標値をまとめる」とする。適用箇所によって、効果のバラツキがあり、目標値を決めるのに時間がかかっていたからだ。例えば、汎用ロジックの精度は高いものの、正確率にバラツキがみられる。一方、ソースコードは9割の向上を期待できるという。こうしたサンプリングを増やし、生産性がどの程度向上するのか検証しているところ。プロンプトからどんな要求を出するかでも、回答精度が違う。「こういう入れ方をする」と、いい結果が出ることも分かってきたという。

 なので、開発工程の中で、まず大きな効果の出そうなプログラミングと単体テストに集中して使ってきた。次の段階は、実際の開発プロセスに導入し、SE部隊のソフト開発へと広げていく。Azure OpenAI Seviceを採用するのは、ChatGPTはビジネス上の秘密情報が洩れるなどのリスクがあるかもしれないからだとする。「安心して使えるものとして選択した」。加えて、Azure OpenAI Seviceはテキストの認識が高く、膨大な学習済みデータがあるので。富士通はそこに追加するだけになる。ただし、世の中に公開されているデータや文献などを学習したものなので、疑って使うことになる。つまり、間違いを探す作業や著作権の侵害、セキュリティの脆弱性など使用上の注意すべきことが多々あるということ。

 一方、同社人工知能研究所リサーチディレクターの小林健一氏は2月9日に開催されたJEITA主催「ソフトウェアエンジニアリング技術ワークショップ」で、「GitHub Copilotが生産性を向上させることはすでに確認されている。ただし、中高難度なシステムになると、性能が低下する。バグのあるプログラムなのか、正しいプログラムなのかの違いも分からない」などと、問題点を指摘していた。さらに「コード生成より、設計の品質向上にある」と、生成AIの活用を示唆する。大規模システムのコード生成はすでに自動化されているので、設計書をレビューし、アドバイスしたり、ユーザーの要件を理解したり、ドメイン知識が必要な設計などへの活用を期待するということ。(田中克己)

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