野村総合研究所(NRI)の城田真琴IT基盤技術戦略室長はこのほど、「ポストコロナのテクノロジーロードマップ」というテーマでオンライン会見し、アップルやグーグルなどによる接触確認アプリや3次元プリンタによる個人用防具の製造、VR/ARを活用したEコマース、ビデオ映像による非対面営業、消毒ロボット、ロボットウエイトレスなど新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するデジタル技術を紹介した。
注目したソリューションはいくつかあった。1つは、相手の反応が分かるWeb会議システム。顔の動きや表情、音声などから感情を認識するもの。2つめは、スタンフォード大学が開発したウエアラブルデバイスを使った心拍や体温などから感染を24時間前に予測するシステム。3つめは、在宅フィットネス・サービスだ。自宅に設置した鏡型デバイスにライブ配信し、トレーナーをみながら自分の動きを確認するもの。4つめは、見えない決済。配車システムのウーバーが提供する仕組みを、たとえばレストランに導入し、食事を終えて店を出たら決済されるというもの。
城田氏は、こうしたデジタル技術が社会に浸透していくことをデジタル・ニューノーマルと呼ぶ。それを阻む壁がある。技術や費用、法、文化、体験の5つで、それを乗り越えるものと、乗り越えられないものがある。たとえば、オンライン診療は法の壁がある。VRショッピングは、高価なVR専用機が必要になるなど費用の壁がある。オンライン授業は、友人との雑談など体験の壁がある。新型コロナ収束後に需要はなくなるものもあるだろう。たとえば、ソーシャル・ディスタンスを可能にするシステムだ。いずれにしろ乗り越えたものが、デジタル時代のニューノーマルになるのだろう。(田中克己)